実際にChatGPTを使ってみて思うのは、「どうしてこんなことが出来るのだろう」に尽きる。別にChatGPTに限らず、自分の理解力を超えた機能を発揮してくれるものは世の中に幾らでもある。ただ、これまで存在していたものは、「自分にはよくわからないが、何となくこういう事は出来るのだろうな」という理解の範疇にあったような気がする。「気がする」だけであって、自分がそれに馴染み過ぎて当たり前になってしまっているために、わかったような気になっているだけなのかもしれない。例えば、遠くで鳴っている音楽が、ラジオを通じて目の前のスピーカーから聴こえてくる仕組みを、私は正しく説明することが出来ない。だが、このように尋ねて返ってきた説明は、どうにか私の理解の中に納まる。
Q1)遠く離れた土地で演奏されている音楽が、ラジオを通じて目の前で再生され、それを聴くことができます。
これはどのような仕組みによるものなのか、わかりやすく順を追って説明してください。
遠く離れた土地で演奏されている音楽がラジオを通じて再生される仕組みを順を追って説明します。
1. 音楽の演奏と録音
・音楽がステージやスタジオで演奏されます。
・演奏された音楽は、マイクロフォンで拾われ、電気信号に変換されます。2. 音声信号の変換と送信
・この電気信号(音声信号)は、ラジオ局の送信機に送られます。
・送信機は、この音声信号を電磁波(ラジオ波)に変換します。3. 電波の送信
・変換された電磁波は、ラジオ局のアンテナから空中に送信されます。
・電波は光の速度で広がり、遠く離れた場所まで到達します。4. 電波の受信
・ラジオ受信機(ラジオ)がこの電波をアンテナで受信します。
・受信された電波は、ラジオ内部で電気信号に戻されます。5. 音声信号の復元と再生
・ラジオは、この電気信号をスピーカーで音声として再生します。
・これにより、元の音楽が聴こえるようになります。まとめ
音楽が演奏され→マイクで拾われ→電気信号に変換→ラジオ局で電波に変換→送信→ラジオで受信→再度音声に変換→スピーカーで再生されます。
このプロセスを通じて、遠く離れた場所で演奏されている音楽が、ラジオを通じてリアルタイムで聴くことができるのです。
なんとなくわかったような気になる説明だ。だが、おそらくちゃんとわかってはいないのだ、という事もわかっている。そこで、もう少し聞いてみる。
Q2)次のそれぞれのプロセスについて、もう少し詳しく説明してください。
・音楽がマイクロフォンに拾われて電気信号(音声信号)に変換されるプロセス
・送信機が音声信号を電磁波(ラジオ波)に変換するプロセス
・電磁波が空中に送信されるプロセス
・ラジオ受信機が電波をアンテナで受信するプロセス
各プロセスについて詳しく説明します。
1. 音楽がマイクロフォンに拾われて電気信号(音声信号)に変換されるプロセス
マイクロフォンの働き:
ダイアフラム(振動板):
・マイクロフォンの内部には薄い膜状のダイアフラムがあります。
・音楽の音波がダイアフラムに当たると、ダイアフラムが振動します。振動の変換:
・ダイアフラムの振動は、マイクロフォン内部のコイルやコンデンサーによって電気信号に変換されます。
・ダイナミックマイクの場合、振動によってコイルが磁場の中を動き、電流が発生します。
・コンデンサーマイクの場合、振動によってコンデンサーの容量が変化し、電圧が変わります。音声信号の生成:
・この電気信号が音声信号として生成され、音楽の波形を電気的に再現します。
2. 送信機が音声信号を電磁波(ラジオ波)に変換するプロセス
変調の仕組み:
変調(モジュレーション):
・音声信号は「変調器」で、キャリア波(搬送波)と呼ばれる高周波の電波に重ねられます。
・変調の種類には、振幅変調(AM)と周波数変調(FM)があります。振幅変調(AM):
・音声信号の振幅(強さ)に応じてキャリア波の振幅が変化します。
周波数変調(FM):
・音声信号の周波数に応じてキャリア波の周波数が変化します。
変調後の信号:
・変調された電波は、音声信号の情報を含んだ電磁波となります。
3. 電磁波が空中に送信されるプロセス
アンテナの働き:
送信アンテナ:
・送信機で変調された電磁波は、アンテナに送られます。
・アンテナは電磁波を効率よく空中に放射する装置です。放射の仕組み:
・アンテナから放出された電磁波は、光速(約300,000 km/s)で空中を進みます。
・電磁波は直進しながら反射や屈折も行い、広範囲に届きます。4. ラジオ受信機が電波をアンテナで受信するプロセス
受信の仕組み:
受信アンテナ:
・ラジオ受信機のアンテナは、空中を進む電磁波をキャッチします。
・アンテナに電磁波が当たると、アンテナに電流が流れます。復調(デモジュレーション):
・アンテナからの電流は「復調器」に送られます。
・復調器は、キャリア波から音声信号を取り出します。音声信号の再生:
・復調された音声信号は、ラジオのアンプで増幅され、スピーカーに送られます。
・スピーカーは、音声信号を音波に変換し、音楽として再生します。まとめ
これらのプロセスにより、遠く離れた場所で演奏された音楽が、ラジオを通じてリアルタイムで聴取可能になります。音の物理的な振動が電気信号に変換され、電磁波として伝送され、再び音に変換される一連の技術が組み合わされています。
さっきより、明らかに「わかった感」を強く持たせてくれる説明だ。もう、私はラジオの仕組みを理解した...と思う。思いたい。
本筋から外れた話が長くなってしまったが、ChatGPTのような生成AIについても、誰かがわかりやすく説明してくれているはずだ。そう考えていると、ある動画がブックマークを集めていることを知る。
冒頭で、「GPTは、生成事前トランスフォーマーの略です」とある。英語でGenerative Pre-trained Transformer。この動画は、このTransformerについて解説してくれている。どこまで理解できるのか、は別として、「『意味』と言うとき、これはベクトルの要素で完全に表現されるものを指しています」という説明に、何とも心惹かれる。
今はどうなのか知らないが、私が高校生の頃にはまだ数学の項目として「行列」があった。恥ずかしながら、これも曖昧な記憶しかないので聞いてみた。
Q3)ベクトル、行列とは何ですか。
ベクトルと行列は、数学や物理学、工学などで広く使用される基本的な概念です。それぞれについて詳しく説明します。
という説明の後に、ベクトル(Vector)と行列(Matrix)についての説明が続くのだが、まとめだけを載せる。
まとめ
ベクトルは、大きさと方向を持つ量で、成分によって表される。
行列は、数値を格子状に並べたもので、多次元のデータの操作や変換に使われる。
どちらも数学や物理学、工学で重要な役割を果たし、多くの応用分野で使用されます。
実際に上記の動画のどこまでを自分が理解しているかは怪しいのだが、manとwomanの違い(ベクトルの)が、kingとqueenの違いと似たものになっている、という説明は何だか私にも少しわかった気にさせてくれる。
このあたりの例として挙げられているものは面白くて、「意味=ベクトルの要素であらわされる」を実感させてくれる。どのような問いかけが最も望む回答を出してくれるのか、誰にも誤解されないような整理された日本語による問いかけの文章、というものを意識することが重要なのだ、というのがわかる。動画の中での説明で出てくる耳慣れない言葉、例えば「正規化」などは、文系卒の還暦には耳馴染みのない言葉だが、それらをChatGPTに尋ねながら、動画を見ている。
正規化(Normalization)は、データや数値を特定の範囲や形式に変換するプロセスです。具体的には、様々な応用分野で異なる意味を持つことがありますが、一般的な意味合いといくつかの具体的な例について説明します。
一般的な定義
正規化は、データを一定の範囲内に収めたり、基準に合わせてスケールを調整することです。これにより、異なるスケールや単位のデータを比較しやすくしたり、計算や解析の際に特定の条件を満たすように調整します。(中略)
正規化は、データを一貫したスケールや形式に変換することで、解析や比較を容易にし、計算の効率と精度を向上させるための重要なプロセスです。ベクトル、数値データ、データベースなど、さまざまな領域で適用される方法があり、それぞれ特定の目的に応じた手法が用いられます。
親切な事に、Chapter1では「ベクトルとは何か」から始めてくれている。
実は、子どもが高専1年生の頃に物理で少し躓いたことがあり、一緒に参考書を探して読んでみたことがあった。その時に再学習のような形でベクトル、行列について読んだのだが、この動画での説明はその時の参考書よりもかなりわかりやすい。概念として、すんなり頭に入ってくる。Chapterが進むごとに難易度が高くなるのだろうが、ちょっと続けて見てみよう、と思っている。